
なぜ、EC2はそんなに導入されているのか?
今回は、EC2の基本的な知識から、導入前に知っておくべきポイントを深く掘り下げていきましょう。
EC2の基本を知る
EC2とは?
AWSで提供しているパブリッククラウドサービスです。クラウド上にインスタンスと呼ばれる仮想OS・仮想サーバを設定してから利用します。バーチャルマシンとも称され、高性能で即時拡張が可能なマシンを、いくつも起動することができます。
EC2の特徴は?
・アカウント作成からすぐに使えます。(10分でサーバー構築ができます出典:10分でできる!AWS クラウドでサーバーを立ち上げる方法)
・初回登録時は750時間/月×12ヶ月間分の無料利用枠があります。
・インスタンスのコピーができます。(開発用と公開用など雛形を作れます)
・世界中に設置が可能です。(バックアップや負荷分散に最適)
EC2の料金を知る
基本概念
インスタンスごとに4つの料金体系があります。オンデマンドインスタンス:通常料金というイメージ。従量型課金。OSやスペックごとに料金は異なり、サーバの稼働時間に応じて料金が発生します。
スポットインスタンス:入札型料金。オンデマンドに比べて最大90%割引も可能。入札した価格が現在価格を下回った際、停止・削除されるため、シーンを選んで活用する必要があります。
リザーブドインスタンス:1年または3年の予約購入型料金。全額・一部・なしの3種の前払いシステムに応じて割引率が異なり、オンデマンドに比べて最大で75%割引が可能です。
長期的に利用することが確定しているのであればおすすめです。
Dedicated Hosts:利用者専用の物理サーバ。上記3つ(クラウド)と比べ特殊型。コンプライアンスやライセンス等での利用の場合におすすめです。
具体的な料金プラン
利用環境に応じてパターンが無数にあるためここでは省略します。詳しく調べたい場合は、AWSで提供している無料ツールを利用してみると良いでしょう。
▼AWS Pricing Calculator
https://calculator.aws/#/
▼Amazon Web Services Simple Monthly Calculator
https://calculator.s3.amazonaws.com/index.html?lng=ja_JP#key=NONE
また、@nishinoshake氏が作成されたものも重宝します。
▼ざっくりAWS
https://aws.noplan.cc/
EC2の効果を知る
ここでは、EC2導入で得られる効果について、実際の導入事例を参考に検証してみましょう。ケース1 近畿大学
オンプレミス構築・運用に疑問を感じていた近畿大学では、コストと手間を削減するべくAWSの導入を決断しました。導入にあたり、様々なクラウドサービスを試験利用し、AWSに決定します。
導入後の効果としては、調達にかかる初期投資費用を70%削減。ランニングコストを合わせても10年間の総費用で20%削減できる見込みです。
インフラ調達からサービス立ち上げまでの期間において、オンプレミスで2〜3ヶ月の作業が、AWSならば1〜2週間でできるスピード感も、クラウドならではの高い効果の一つだと言います。
ランニングコストではやや分が悪いですが、付随する要素を見直すことで、大幅なトータルコストカットが実現できます。
ケース2 バンダイナムコグループ
2005年に経営統合したバンダイナムコグループでは、グループで3つ抱えていた主要データセンターの効率化と、ITコスト削減が課題でした。課題解決のために、従来のオンプレミス型からクラウドサービスへの移行が決定し、要件を洗い出し、点数化して選定した結果、AWSが総合点が最も高く、さらに、コスト面と迅速なインフラ提供が評価され、AWS導入が決定したと言います。
移行に際し、プロジェクトを立ち上げ、開発、検証、テストを繰り返し、さらに、人為的ミスを避けるため、自動移行とチェックをする仕組みを導入し、無事AWSへの完全移行が完了。
導入後の効果としては、インフラコストが20%削減、災害対策用のデータセンターやサイトが不要になったことで、災害対策費用の90%圧縮を実現しました。
さらに、インフラ提供をメニュー化し、ルール化することで迅速化につながり、従来では2週間〜2ヶ月ほどかかっていた開発環境の提供が、1日まで短縮できたこともAWS導入の効果として挙げています。
コスト削減や開発環境の短縮も重要な点ですが、入念なテストと検証により、移行後も不具合なく稼働できたことが大きな成果と言えるでしょう。
EC2の使い方・選び方を知る
続いてEC2の使い方と選び方について、先ほど紹介したAWSのチュートリアルを参考に紹介していきます。なお、詳細は省きます。- AWSにサインアップする。(アカウントを作成する)
- EC2インスタンスを作成する。
- インスタンスの設定を行う。(AWS推奨はOS:LinuxAMI サーバ:t2.micro 作成の確認部分はデフォルト)
- キーペアの発行する。(キーペア名をつけてダウンロードをクリック)
- インスタンスのステータスを確認する。(パブリックIPアドレスをコピーしておく。)
- インスタンスに接続する。(ターミナルから手順に沿ってSSHから接続をしていきます)
- 以下の画面が出れば接続完了です。
出典:仮想マシンの起動|https://aws.amazon.com/jp/getting-started/tutorials/launch-a-virtual-machine/ - 使用しない場合は、インスタンスを終了しておきましょう。(課金され続けるため)
なお、AWSには他にも様々なチュートリアルが用意されています。実際に動かしてみるとよりわかりやすいです。
EC2のメリット・デメリットを知る
ここでは、EC2のメリットとデメリットについてみていきます。メリット
- 初期コストの大幅な削減ができます。
- 環境構築までのスピードが早い。
- 柔軟な拡張性。(インスタンスの設置や終了で実現できます。)
- バックアップやシステム障害への対策が簡単。
- オンプレミスからの移行もスムーズ。
デメリット
- オンプレミスよりもランニングコストがかかる。
- セキュリティやインフラをAWSに依存する。
- 設定の見直しやサービスの追加など管理が重要。
- トラブル対処は利用者側で行う必要がある。
まとめ
今回は、AWS EC2に関して基本的な部分から深く掘り下げてきました。EC2とオンプレミスではそれぞれ一長一短あります。
コストだけに捉われず、目的やシーンに合わせて、メリット・デメリットを考慮した上で導入することが重要だと言えるでしょう。