AWSへ移行することで、従来のオンプレミス環境では実現困難であった、柔軟なサイジングのシステム構築が可能です。
AWSの利用には初期費用がかかりませんので、従来のIT投資判断に縛られず、迅速な移行をすることができます。
さまざまな企業への移行事例があり、クラウド専業により培ったノウハウにより、安全な移行を行うことができます。
この記事では、AWSへの移行についてまとめます。
AWS移行のメリット
AWSはAmazon.comが運営しているクラウドコンピューティングサービスです。
世界中で数百万以上のユーザーが利用りており、日本でも10万以上のユーザーがいます。
クラウドコンピューティングサービスは近年、にわかに普及し始めましたが、従来のオンプレミス環境では実現しにくかった、サイジングが柔軟なシステムを構築できます。
AWSでは必要なときに数クリック数分間でサーバーの台数を増やすことができますし、稼働しているサーバーのCPUやメモリ、ストレージ容量を増減させることができます。
日中しか稼働しないような社内システムなら、夜間は停止しておくことでコスト削減につながりますし、キャンペーン実施などで臨時で容量を増やす必要がある際にも便利です。
もちろん、利用されていないITリソースの維持コストは発生しません。
従来のオンプレミス環境であれば、ピーク時に合わせてサーバー要領を用意し、通常時には過剰なITリソースを抱えることになりますし、ピーク時にも十分なスペックを維持できずに、可用性の悪いシステムになってしまいがちです。
サーバーリソースを監視して、自動でサーバーリソースを増減させるようなシステムも構築可能です。
AWSでは従量課金制の料金システムになっていて、料金はすべて公式ホームページに記載されています。
165以上のサービスがあり、新しいサービスが発表された時点で、すべてのユーザーが同じ値段でサービスを利用することができるようになります。
透明性の高い料金設定であり、価格交渉の手間も必要ありません。
Amazon.comが大量のITリソースを確保して、ユーザーに還元しているので、一台当たりのサーバー利用料は安くなり、実際過去10年間で70回以上の値下げを実施しています。
オンプレミス環境でシステムを構築する場合には、サーバーの購入費などのIT投資判断が必要でしたが、AWSでは初期費用がかかりませんから、投資判断に縛られず迅速にシステム構築に移ることができます。
さらに、数クリック、数分間でITリソースを増設、解除できますし、一度稼働させたシステムは、他のリージョンに簡単に移設できます。
ですから、海外展開も即時に可能で、海外のデータセンターの視察や契約に赴く必要もなく、ビジネスの機会を逃さない俊敏性があります。
セキュリティ面でも安全性が高いシステムを構築可能です。
「パブリッククラウドよりも、既存のデータセンターやプライベートクラウドの方が安全だ」という声も聞かれますが、個々の企業の一部門であるIT部門によるセキュリティ投資よりも、クラウドベンダーの方が多額のセキュリティ投資が可能です。
AWSのデータセンターは
- 物理的に隔離
- 洪水面を考慮
- 地盤が安定している場所
- 無停止電源、バックアップ電源、異なる電源配給元
- 冗長化されたTier-1ネットワーク
ただし、使用するAWSサービスや、システムの構築方法、利用方法などによっても注意すべきセキュリティコンプライアンスが異なりますから、セキュリティに関しては構築時に注意深く検討してください。
AWS移行ツールとサービス
AWSにはアプリケーションの自動化を支援する多くのツールがあります。
AWS Migration Hub
AWS Migration Hubを使用することで、アプリケーションの移行の進行状況を追跡できます。AWSだけでなくパートナー制度の開発者による移行であっても、進行状況を取得できます。
AWS Application Discovery Service
AWS Application Discovery Serviceはオンプレミスのデータセンターに関する情報を収集し、移行プロジェクトの進行を支援します。サーバーの設定データ、使用状況データ、動作データが収集され、AWSのワークロードを把握できます。
TSO Logic
TSO Logicは、データ駆動型レコメンデーションを提供するツールです。<サーバーとデータベースの移行>
AWS Server Migration Service
AWS Server Migration Serviceは、AWSに移行するためのエージェントレスサービスです。ライブサーバーボリュームの増分レプリケーション自動化、スケジュール設定追跡が可能です。
AWS Database Migration Service
AWS Database Migration Serviceは、データベース移行を簡単に行うサービスです。移行中でもデータベースは利用可能であり、データベースを利用するアプリケーションのダウンタイムを最小限に抑えられます。
VMware Cloud on AWS
VMware Cloud on AWSは、VMwareとAWSで共同開発した、統合クラウドサービスです。CloudEndure移行
CloudEndure Migrationは物理、仮想、クラウドベースのインフラテクチャにあるアプリケーションのAWSへの移行を簡素化、迅速化、自動化します。CloudEndure Migrationは、サポートしているOSで実行しているアプリケーションを自動的に変換し、AWSで機能するようにします。
<データ移行>
Amazon S3 Transfer Acceleration
Amazon S3 Transfer Accelerationは、使用可能な帯域幅を最大化して、迅速なデータ転送を行えます。AWS Snowball
AWS Snowballは大容量のツールを転送するためのツールです。AWS Snowmobile
AWS Snowmobileは、超大容量データをAWSに移動するためのデータ転送サービスです。ビデオライブラリや画像リポジトリなどのデータを移行する際、またデータセンター全体など、膨大なデータを移動できます。
AWS DirectConnect
AWS DirectConnectは、ユーザのネットワークとの間に専用のネットワーク接続を確立します。Amazon Kinesis Firehose
Amazon Kinesis Firehoseは、ストリーミングデータをAWSにロードするためのツールです。AWS Marketplace
AWS Marketplaceを利用することで、1100を超えるテクノロジーパートナーが提供する3500以上のソフトウェアを利用できるようになります。大規模なシステムをAWSへ移行する際には、使用しているアプリケーションの権限を検証するのに大量の労力と時間が必要ですが、AWS Marketplaceを利用することで、この問題に対処できます。
AWS移行の手順
それぞれの企業の状況によって、さまざまなAWS移行の手順が考えられますが、一般的な移行手順について考えます。
目的を明確に
「なんとなく便利そうだから」という理由で漫然とAWSに移行するのではなく、目的をもって移行を進めましょう。どのような点を改善したいのか、どのようなシステムを構築したいのかを決めておくことが大切です。
現行システムの構成と機能を把握する
現行のシステムを理解せずにAWSへの移行を進めると、思いもよらないトラブルが発生する危険性があります。オンプレミスかAWSが向いているかを検討する
すべてのシステムやITリソースが、パブリッククラウドに向いているわけではありません。実際、すべてのサービスをAWSに移行しても、部分的に見ればコストが増えるような部分もあるでしょう。
移行後のサービス構成を決定する
AWS移行で改善したいポイントを整理して、どのようなサービス構成が適当か検討します。費用について検証する
AWSにはランニングコストがかかります。AWSは従量課金制のサービスであり、例えばウェブサイトなどを運用する場合には、そのアクセス数によっても月額費用が変わります。
ですから、なかなか料金を「いくらかかる」というように算出しづらいのがAWSの特徴でもあります。
そもそもシステムを柔軟に変更できるのが、AWSなどのクラウドコンピューティングの魅力ですから、「構成と使用量から考えると最低いくらくらい、構成を大きくする場合は追加でいくらくらいかかる」という考え方をすべきです。
移行作業
サービス構成が決まったら、サンプルデータなどを用いて、システムが正常に稼働するかのテスト運用を行います。問題なければデータベースなどの移行を行います。
最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、AWSへの移行についてまとめました。
ご参考になれば幸いです。