
何らかの契約を交わす。
ということです。
単純に言えば「○○という業務をAがBのために行い、BはAに××の報酬を支払う」と言うのが契約の根幹で、付随する細かい内容を含めて書き記した書面が「契約書」になります。
それでは、とくにフリーランスのエンジニアの方がこの契約を行う際に何に注意を払うべきなのか?
とくに駆け出しの場合は戸惑うことも多くあるのが実情だと思いますので、今回は改めて契約周りで注意しておきたいことをまとめてみました。
フリーランス・エンジニアの契約にはどんな種類がある?!

「請負契約」と「準委任契約」です。
なお、「業務委託契約」という言葉を聞かれたことがあるかと思いますが、これは民法上の名称ではなく、多くの場合「請負契約」と「準委任契約」の両方の要素が入っています。
つまり、実際に交わされる契約書の表題は、ある程度自由に「○○○契約書」とすることができ、内容的にいくつかの契約の種類を合わせて一つの契約書となっていることも珍しくはありません。
「請負契約」は成果物、つまりシステムやプログラミングなどを完成させて納めることを契約し、「完成品」を渡すことで報酬が支払われます。
逆に言えば「完成」しない限りは、原則として報酬は発生しません(ほかに規定がある場合は除きます)。
一方、「準委任契約」では業務を行うこと自体を契約します。
例えば、システム開発業務を一日8時間、20日間行い、○○円の報酬を支払うという「準委任契約」をした場合、業務処理に対して報酬が発生します。
システムが完成したかどうかは「準委任契約」では報酬確定条件ではありません。
なお、「準委任契約」という言葉ですが、これは民法に規定のある「委任契約」に準ずるものを指します。
「委任契約」は弁護士が依頼を受けて裁判や交渉を行うような、法的要素のある契約を指し、当然ながら勝訴でも敗訴でも報酬が発生します。
「準委任契約」はこれに準じ、依頼されて業務を行い、完成してもしなくても報酬が発生するものです。
フリーランス・エンジニアが注意すべき契約とは?!

「請負契約」であれば「何を完成させることを契約するのか」、「準委任契約」では「どんな業務を行うのか」、言い換えれば「何をすることが目的の契約か」が最重要事項です。
どんな種類や名前の契約であっても同様です。
この段階で自分の認識と違っていれば、慎重に進めないと後々トラブルになる可能性があります。
そして必ず「契約書」など文書になっているものを読んで理解し、保存してください。
フリーランスの場合、契約書を交わさないことも多いでしょうが、メールでも打ち合わせのメモ書きでも記録がとれるものは必ずしっかり読んで残しておいてください。
後日、トラブルなどでの万が一の際にも役立ちます。
また、契約書を作成して互いに交わす場合には、どんな時もやみくもに署名捺印してはいけません。
日常使わない言葉が多く、面倒になって言うなりに署名してしまうと危険です。
特に金銭や賠償に関係する項目には注意してください。
一見高い報酬が提示されているように見えても、永久に追加料金なしで修正業務を行う、交通費などの多額の必要経費が受注者負担、など不公平な契約となっている場合もあるので注意が必要です。
そのほか、細かい項目ごとに多くの注意点があるので、もしよくわからない場合は直接契約相手にしっかりと確認を取ったり、書籍などで調べたり、できれば専門家に相談することをおすすめします。
フリーランスのエンジニアが契約でトラブルにあわないために…

言い出したらきりがありませんが、フリーランスのエンジニアの場合で特に大切にしたい点をいくつか挙げてみます。
まず、業務を誠実に遂行することです。
当たり前ですが、プロとして求められている仕事を期限内に確実に行うことが大前提です。
しかし、天災にあったり、病気になったり、予定通りに運ばないことだってありえます。
契約書上に記載があろうがなかろうが、何か事情があって契約通りに業務を行えない場合は速やかに連絡する、といった基本的なことを含めて、真摯に取り組むことが大切です。
第二に、各種書類や経理・税の申告などについて基礎知識を持つことが有益です。
例えば、契約書はクライアントからだけではなく受注するエンジニアから提示することもできます。
また、業務の一連の流れのなかでは、見積書や請求書など他にも書類を交わすことがありますし、税金関係の書類や経理帳簿なども必要となるでしょう。
これらに関して少なくても基礎的な知識を持つことは、フリーランスでやっていくうえで重要なことです。
不公平な契約をよくわからないまま受け入れてしまうことの防止にもなります。
そして最後に、できればですが、契約相手を知ることです。
特に初めての取引では、可能な範囲で相手を知ることが大切です。
企業が相手であればHPの確認や社名での検索などは、最低限必要でしょう。
また、知人の紹介などで仕事をするときにも、ある程度リサーチしておくとスムーズに業務が進められる可能性が高まります。
逆に、危険な取引を避けるためにもリサーチは役立つでしょう。
いくら気を付けていても、契約トラブルのすべてが避けられる保証はありません。
しかし、「備えあれば憂いなし」で仮にトラブルに見舞われた時にも落ち着いて行動することができるのではないでしょうか。
フリーランスだからこそ慎重な姿勢がご自身を助けるために重要です。