
メルカリなどのアプリは最近CMでもよく見ますし、大人気です。
LINEやantennaなどソーシャルサービスの企業がフリマのサービスを開始するケースもあり、ネットショップを運営するためのハードルはどんどん下がってきています。
さらにBASEやSTORES.jpやMakeShopなど、ホームページ作成などの知識がなくてもネットショップを簡単に運営できるサービスも増えてきており、ネットショップに参入するためのハードルは非常に低くなって来ています。
しかし、たとえ技術的には簡単になってもネット通販には消費者保護などの観点からいろいろな規制があります。
それを知らずに規制や法令違反をしてしまうと思わぬトラブルに巻き込まれることになります。
ここでは、ネット通販サイトを運営する上で、絶対に知っておくべき幾つかの法律の規制や制約について詳しく解説していきたいと思います。
取り扱う商材によってはネットショップでも許可や届け出が必要

しかし、ネット通販業者ならなんでも販売して良いというわけではありません。
取り扱う商材についての規制は実店舗と全く同様です。
特に食品は「食品衛生法」という法律で、細かく規定されています。
例えば農産物を農家から直送する場合や、加工品を仕入れて販売する場合は手作りのキムチや漬物、手作りのスイーツやジャム、ジュースなどを販売するには許可証が必要です。
さらにアルコール度数1度以上の酒類を販売するには「酒税法」の規制を受け、一般酒類小売業の免許が必要です。
さらにネット通販のためには加えて酒類の通販の免許も必要になります。
しかも酒類販売許可を得るには経験者が必要です。
また、中古品を仕入れたり委託販売する場合には「古物営業法」という法律が適用され、古物商許可証が必要です。
自分の不用品をオークションや、フリマサイトで販売するのは問題ありませんが、販売を目的に仕入れる場合には許可が必要になります。
さらにペットについても、哺乳類、鳥類、爬虫類を販売するには保健所への届け出が必要です。
他にも花火や爆竹やキャンプ用のホワイトガソリンを取り扱うには警察への届け出が必要ですし、コンタクトレンズなどの医療器具は保健所への届け出が必要です。
基本的にすでに実店舗を運営していて、その商材をネットショップで販売するのはほぼ問題ありませんが、実店舗がなく、ネットショップだけで運営を行うときは、まず取り扱う商材について関連する法律の規制がないか事前に調べる必要があります。
ネットショップを運営する上で知っておくべき法律

この法律は通信販売を行う事業者に対する規制を定めています。
ネットショップで表示をして消費者に周知するべき事項などが定められています。
また、誇大広告などの禁止や、未承諾者に対する電子メール広告の提供を禁止するといったいろいろな規定が定められています。
一般にネットショップでは「特定商取引法にもとづく表記」というページを設置していて、この法律の規定に対応しています。
さらにネットショップなど電子商取引に特化した法律としては、「電子消費者契約法」があります。
この法律も重要で、ネットショップで消費者が購入などの申し込みを行う前に申し込み内容を確認するような措置を講じることが義務付けられています。
不当表示と過大な景品提供を禁止した「景品表示法」もサイト制作や運営の上で重要な法律です。
ネットショップを運営する上で商品の説明や広告が消費者に誤認を与えるようなサイトは禁止されています。
産地や材料を偽装すればもちろんアウトですが、ネットショップの表示が消費者に誤認を与えるような表示であっても違反とみなされます。
また、懸賞や景品を過大に提供するような運営も禁止されています。
発売記念セールなどを行うとしても景品には制約があります。
その他、「不正競争防止法」という法律も注意する必要があります。
大手の企業名を紛らわしいドメイン名を使ってネットショップを運営して消費者に誤認を与えるですとか、あるいはコピー破りの商品を提供するなど他の企業の活動を妨害したり、他の企業に便乗したりするような運営を禁止しています。
ネットショップの運営で備えるべきセキュリティに関する法律

ネットショップを運営すれば、購入者や登録者などのデータベースを作成することになります。
以前は取り扱う個人情報が5,000人分以下の事業者は個人情報取扱事業者に該当しないとされてきましたが、法改正によって現在は5,000人分以下の個人情報を取り扱う事業者も「個人情報保護法」の義務の対象になることになりました。
したがって現在ではネットショップの運営を始める最初の段階から「個人情報保護法」に沿った、情報の取得、利用、管理を行うことが求められています。
例えば、個人情報の利用目的や利用の範囲などを公表することなどが求められています。だいたいのホームページの脚注部(フッター部)にある「プライバシーポリシー」というやつがそれですね。
さらに取得した個人情報の利用段階で、場合によっては「迷惑メール防止法」という法律にも注意が必要です。
ネットショップでは、購入者あるいは登録者にメルマガ配信でリピート購入や購入者の増加を図るという運営が一般的に行われますが、このメルマガ配信前に受信者に配信の許可を明確に得ていないと「迷惑メール防止法」に抵触する可能性があります。
ネットショップを始めるための技術的なハードルは非常に低くなりました。
今ややろうと思えば誰でもネットショップを始めることができます。
しかし、技術的なハードルが低くなったからといって、不特定の消費者に商品を販売するということに伴う社会的な責任が軽減されるわけではありません。
それは、道義や倫理だけでなく法律的な責任も存在します。
ネットショップの運営にどんな責任があり、どんな法律の規制をクリアしなければならないかをしっかり把握しておくことは非常に大切です。
ここをおざなりにすると、あとで痛い目に合いますよ。