2006年に公開されて以降、非常に広くAWSのクラウドコンピューティングサービスは普及しており、非常に多くの企業がAWSを利用して業務を行っています。
協和発酵キリン株式会社やトヨタ自動車株式会社なども、AWSを導入していますし、九州大学などもAWSのITリソースを利用しています。
AWSを利用したシステム設計・運用設計はさまざまな考えられ、オンプレミス環境でできることのほとんどはAWSで実現可能です。
この記事では、Amazon Web Service業務システム設計・移行についてまとめます。
Amazon Web Service業務システム設計・移行のメリット
AWSはAmazon Web Servicesの略称で、Amazon.comが運営しているクラウドコンピューティングサービスです。
非常に多くの企業や研究機関のソリューションに関わっていて、パートナー制度もあり、世界中に普及しています。
日本でも以下のような企業がAWSを導入して事業を行っています。
・株式会社あきんどスシロー
・株式会社ニコン
・協和発酵キリン株式会社
・日本経済新聞社
・株式会社日立製作所
・ミサワホーム株式会社
・三井物産株式会社
・株式会社東芝
・トヨタ自動車株式会社
AWSを導入することで、従来必要だったコンピューティング環境の管理コストや、そのための人材を、自社の事業の発展のために活用できます。
AWSは透明性の高い料金設定になっていて、すべてのサービスの利用料は、ホームページにすべて記載されていますし、特定の利用者が特権的な価格で利用するようなこともありません。
利用した分だけの料金を支払う従量課金制ですから、無駄なコストが発生しません。
従来のオンプレミス環境でのシステム設計であれば、負荷のピーク時に合わせてサーバーを設置したり、サーバーを確保する必要がありますが、AWSはサイジングが簡単な手続きで行えますから、必要なときに規模を拡張して、不要になったら開放することで、常に最適な規模のシステムを構築できます。
また、世界中に多くのリージョンを持っていて、ユーザーは実質無限のITリソースを利用できますし、Amazon.comが大量にサーバーを確保していますから、その分1台当たりの単価が下がり、低価格で利用できます。
その分をユーザーに還元していて、これまで70回以上の値下げを実施しています。
値下げした料金は、すべてのユーザーにすぐに還元され、価格交渉の手間なども省けます。
毎年、非常に多くのアップデート・新しいサービスを発表していて、発表された段階ですべての利用者が同様のサービスを利用できるようになりますから、利用者は最新技術を常に利用できます。
現在ではAWSは165を超えるサービスを提供していて、日本では10万をこえるユーザーがいます。
日本だけでなく海外にもデータセンターを構えていて、一度稼働させたシステムは、他のデータセンターにも複製・移行させることが可能です。
そのため、事業をグローバル展開する際も、現地のデータセンターのための視察や運用テストの手間が大幅に省かれ、俊敏な海外展開が可能です。
AWSは24時間365日、日本語のサポートも実施しています。
問い合わせは電話・メール・チャットで行うことができ、ビジネスへの影響が強く緊急度の高いもの（とAmazon.comが判断したもの）については、1時間以内に回答されます。
通常の問い合わせでも24時間以内に回答を得られますし、非商用環境の利用者に対するデベロッパーサポートもあります。
Amazon Web Services 業務システム設計・移行例
・株式会社エイチ・アイ・エス
株式会社エイチ・アイ・エスでもAWSを導入しています。
株式会社エイチ・アイ・エスは、1980年に株式会社インターナショナルツアーズとして設立され、1990年に株式会社エイチ・アイ・エスに商号を変更しました。
日本の代表的な旅行業者であり、現在では東証一部上場、資本金110億円の企業です。
旅行業だけでなく、ホテル事業、運輸事業、テーマパーク事業など多様なサービスを展開しています。
ビジネス面では、オンプレミスのIT基盤で運用していたころに、以下の4つの課題を抱えていました。
・ヒューマンリソース
・キャパシティ
・コスト
・スピード
ヒューマンリソースにおける課題とは、システム構築のための人材を確保することの困難さです。
株式会社エイチ・アイ・エスは旅行会社ですから、システム構築のための人材は最小限にするのが望ましいですが、取引のある各国に人材を配置するのは、非常に困難です。
キャパシティ面での課題は、ピーク時キャパシティに合わせてシステムを設計すると、通常にに過剰なキャパシティを抱えてしまうという問題です。
ゴールデンウイークや長期休暇などの時期と、通常時では特にそのキャパシティの差が大きくなりますから、それらを適切に管理する必要がありますが、オンプレミス環境ではそれが難しいのです。
またオンプレミス環境では初期投資が高額になりがちで、需要があってからシステムが稼働し始めるまで数か月を要するというもの普通です。
さらに、導入したあとの変更にもコストがかかり、柔軟な対応ができないばかりか、データセンターの保守などにも多額のコストがかかります。
これらの「ヒューマンリソース」「キャパシティ」「コスト」「スピード」面の課題を、AWSを用いて解決できます。
AWSのクラウドコンピューティングでは、システムの規模を柔軟にサイジングできますから、ピーク時にはシステムやストレージを拡大して、それが終わればストレージを開放、システムを縮小するなどの対応が可能です。
ストレージの確保などは、Amazon.comが行ってくれますし、数クリックでそれらのITリソースを増やしたり減らしたりが可能です。
それに伴って、過剰なキャパシティを抱えることもありませんし、スピード感をもって柔軟なシステムを構築できます。
また、オンプレミス環境と違い、新しいシステムを試してみて、駄目そうだったらすぐに撤退するということも可能なので、さまざまなシステムを初期投資なく模索できます。
株式会社エイチ・アイ・エスにおける、システム構築は以下のようなものです。
AWS Answers
AWS Answersには、AWSソリューションアーキテクトが開発した、ドキュメントやソリューションが掲載されていて、AWSクラウドを構築して拡大するのに役立つ方法が説明されています。
AWS AnswersはAWSソリューションとAWSクイックスタートがあり、規範的なアーキテクチャのガイダンスを閲覧できます。
AWSソリューションは、AWSの技術パッケージで、AWSプラットフォームを使用して問題を解決する手助けになるように設計されています。
AWSクイックスタートは、AWSソリューションアーキテクトとAWSパートナーによって構築されており、スタンダードなAWSのシステムを使用するのに役立ちます。
また、AWSの技術概要も掲載されていて、集中的なログ管理やVPCセキュリティ機能、単一VPC設計、EC2のOSアクセスコントロールなど、技術的な概要が英語で掲載されています。
最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、Amazon Web Services 業務システム設計・移行についてまとめました。
AWSは非常に多くの企業が導入を進めていて、実際にコストの削減を達成した企業も多く、今後さらに普及していくと考えられます。
スタンダードなソリューションであれば、AWS Answersに掲載されていますし、自社の状況にあったソリューションを考えるならば、AWSのサポートに問い合わせてもよいでしょう。
ご参考になれば幸いです。
