このEC2には、インスタンスという考え方があり(RDSなどにもインスタンスの概念はあります)、その種類の豊富さから複雑な部分もあります。
今回は、EC2のインスタンスに絞って、基本的な特徴から価格、知っておくべきポイントを深く掘り下げていきましょう。
AWSインスタンスとは
基本概念
EC2インスタンス:クラウド上に設置するバーチャルマシンで、仮想OS・仮想サーバを設定してから利用します。CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークキャパシティの組み合わせからなる200以上のインスタンスタイプを、用途に合わせて選択していきます。柔軟に追加や変更も可能です。
RDSインスタンス:DB(DB)に関する同様の組み合わせ。6つのDBエンジンと、合計50以上のインスタンスタイプがあります。初期設定の手間が省け、かつ高性能なDBがすぐに使用できるメリットがあります。
インスタンスの種類
EC2の200以上のインスタンスは大きく5つに分けられます。CPU・メモリのサイズに応じて選択が可能です。汎用タイプ:バランスの取れた性能で基本形。
コンピューティング最適化タイプ:CPUが高く、より効率的な処理に向いている。
メモリ最適化タイプ:メモリ容量が多く、大規模な処理に向いている。
高速コンピューティングタイプ:GPUを搭載しているため、グラフィック処理に向いている。
ストレージ最適化タイプ:HDDなど長期保存用の記憶容量に特化している。
AWSインスタンスの料金
続いてEC2インスタンスの料金についてみていきましょう。基本概念
EC2では、4つの料金体系があります。基本的にはオンデマンドをベースにして考えます。オンデマンドインスタンス:通常の料金。従量型課金でサーバの稼働時間・サイズに応じて料金が変動します。データ転送量(送信のみ対象)に応じて1GBごとに料金が加算されます。
スポットインスタンス:入札型料金。オンデマンドに比べて最大90%割引も可能で、AWSクラウドの空き部分を入札して利用します。入札額が現在価格より下回った際には、サーバが停止するので注意が必要です。
リザーブドインスタンス:予約購入型料金。1年か3年分を予約購入することでオンデマンドに比べて最大で75%割引が可能です。前払いの金額に応じて割引率が異なる点には注意が必要です。
Dedicated Hosts:占有のEC2物理サーバ。コンプライアンスやライセンス等での利用の場合におすすめです。
具体的な料金プラン
OS・サーバ・リージョン・タイプごとに料金が変わります。インスタンスごとの料金比較サイトがあるので、参考としてここで2つ紹介しておきます。
出典:Amazon EC2 Instance Comparison
出典:EC2 Instance Types & Pricing
AWSのインスタンスタイプ
ここでは各インスタントタイプについて、前述した5つのタイプ別でユースケースを紹介していきましょう。タイプ | ユースケース | |
汎用 | A1 | ウェブサーバー、マイクロサービス、開発環境といったスケールアウト型ワークロード |
T3(a) T2 |
マイクロサービス、小・中規模のDB、仮想デスクトップ、開発・テスト環境、ウェブサイトやウェブ・基幹業務アプリケーション、ビルドサーバー、コード保管 | |
M5(a) M4 |
小・中規模のDB、データ処理タスク、クラスターコンピューティング、バックエンドサーバーの実行 | |
コンピューティング最適化 | C5(n) C4 |
高性能ウェブサーバー・アプリケーション、科学的モデリング、バッチ処理、分散分析、機械学習・深層学習推論、広告サービス、拡張性の高いマルチプレイヤーゲーム、動画エンコーディング |
メモリ最適化 | R5(a) R4 |
高性能DB、分散型ウェブスケールインメモリキャッシュ、リアルタイムのビッグデータ分析、データのマイニング、メモリ集約型アプリケーション |
X1(e) |
高性能DB、高負荷のアプリケーション、ビッグデータ処理エンジン | |
ハイメモリ | 大規模な企業のDB | |
z1d | 特定のリレーショナルDBワークロード | |
高速コンピューティング | P3 P2 |
機械学習/深層学習、ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC)、計算流体力学、金融工学、耐震解析、音声認識、自律走行車、創薬、分子モデリング、ゲノミクス、レンダリング、サーバー側のGPUコンピューティングワークロード |
G3 |
3Dビジュアライゼーション、高負荷のリモートワークステーション、3Dレンダリング、アプリケーションストリーミング、動画エンコーディング、サーバー側グラフィックワークロード | |
F1 |
ゲノム研究、財務分析、リアルタイムのビデオ処理、ビッグデータの検索と分析、セキュリティ | |
ストレージ最適化 | I3(en) | NoSQLDB、インメモリDB 、スケールアウトトランザクションDB、分散型ファイルシステム、データウェアハウジング、分析ワークロード |
D2 | 超並列処理 (MPP) データウェアハウジング、分散型コンピューティング、分散型・ネットワークファイルシステム、ログ・データ処理アプリケーション | |
H1 | MapReduceベースのワークロード、分散型・ネットワークファイルシステム、データ処理アプリケーション、ビッグデータワークロードクラスター |
AWSインスタンスタイプを変更する
ここでは、EC2のインスタンスタイプを変更する手順を紹介していきましょう。基本的には、
- 対象のインスタンスの停止を選択
- 停止を確認後、インスタンスの設定→インスタンスタイプの変更
- 変更したいインスタンスを選択し適用
です。
※ただし、旧タイプから新タイプに変更する際には、注意が必要です。
陥りやすい事例では、ENAが関連していることが多いようなので、
出典:Linux インスタンスにおける Elastic Network Adapter (ENA) を使用した拡張ネットワーキングの有効化 – Amazon Elastic Compute Cloud
あたりを参考にしてみてください。
まとめ
今回は、AWSから代表的なEC2のインスタンスについて基本的な部分から深く掘り下げました。様々なパターンのインスタンスと料金設定がありますが、状況に合わせて最適なインスタンスを選択していくことで、AWSのメリットを最大限に引き出すことができるでしょう。
インスタンスを制するものが、AWSを制すと言えるのではないでしょうか。