AWSを利用することで、実質無限のITリソースを借りることができ、常に最適なコストでシステムを運用できます。
サーバーの確保などに費やしていた時間や費用、人員リソースなども浮きますから、その分、自社の事業の拡大に充てることができます。
また、利用料に応じて月額費用が変わる従量課金制ですから、過剰なITリソースを購入することによる無駄なコストが発生しません。
日本語のサポートもありますから、いざというときにも安心して利用できます。
AWSに移行することで、非常に多くの恩恵を受けることができるようになります。
この記事では、AWS移行についてまとめます。
AWS移行のメリット
AWSはAmazon Web Servicesの略で、Amazon.comが運営しているクラウドコンピューティングサービスです。AWSを導入することで、多くのコストを削減できる可能性があります。
例えば、AWSは初期費用がかかりません。
従来のオンプレミス環境でのシステムを運用する場合には、初期投資として高額なサーバーを購入したりする必要がありました。
ですが、AWSでは初期費用が発生せず、従来のIT投資判断に縛られることなく、ITリソースを確保できます。
また、従量課金制で利用することになるため、使った分だけの料金が請求されます。
オンプレミス環境でのシステム設計であれば、サーバーにかかる負荷を考えて、ピーク時のトラフィックに耐えられるだけのスペックを用意します。
ですが、時期や季節によって負荷が変わるような(例えばクリスマスやバレンタインのときによく見られるホームページを作成するなど)サーバーを設置する場合、ピーク時の負荷に合わせてシステムを設計すると、どうしても過剰なスペックのサーバーになってしまい、無駄なコストが発生することになります。
繁忙期だけサーバーを増やすという対策も考えられますが、従来のシステムでは、ストレージの確保に人員を割くことになり、保守にも多くのコストがかかります。
AWSであれば、負荷を監視して、システムの規模を自動で増減させるような仕組みも構築できますし、その際でも使った分だけの料金しかかかりません。
ですから、常に最適なサイズのシステムを運用することができ、無駄なコストが発生しません。
AWSでは必要あんときに数クリック、数分でサーバーの台数を増やしたり減らしたりできますから、季節によって、時期によって、時間帯によってなど、必要になれば増やし、不必要になれば停止させることで維持コストを削減できます。
年間1000回以上のアップグレードを重ねることもあるAWSでは、常に最新の技術を利用することができます。
AWSで利用できるサービスは165を超え、すべてのユーザーが平等に利用できます。
Amazon.comがサービスを公表した時点で、すべてのユーザー利用できるようになり、価格も合わせてホームページに掲載されます。
特定のユーザーに対して低価格で提供するということもなく、すべてのサービスの料金は公表されていますから、非常に透明性が高いのも安心できる点です。
AWSが大量にITリソースを確保していますから、サーバー一台一台あたりのコストは安くなり、それをユーザーに還元しています。
AWSでは過去10年間で70回以上もの値下げを実施しており、値下げが発表された時点で、自動的にその価格が適用されますから、値下げ交渉の手間も必要ありません。
世界中にデータセンター持っていて、一度どこかのリージョンで稼働させたシステムは、他のリージョンにも移植可能です。
ですからグローバル展開も容易ですし、同じ使用感でシステムを稼働させることができますから、現地のデータセンターを確保する必要も、そのための視察も必要なくなります。
クラウドへの移行を選んだ理由をたずねると
AWSは非常に多くの企業が導入しています。全世界で数百万以上、日本でも10万をこえるユーザーがおり、今後もシェアが拡大していくことが予想されます。
それぞれの企業や大学などの研究機関にAWSのクラウドへの移行を選んだ理由をたずねると、展開の俊敏性とスピードが最大の理由だという企業もあり、サイジングの柔軟さが有用だという企業もあり、さまざまです。
株式会社スクウェア・エニックスは、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」などの有名タイトルを開発・販売している企業です。
株式会社スクウェア・エニックスは、MMORPG(多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム)、「ドラゴンクエストⅩ」において、AWS移行により、応答が俊敏なシステムを構築しました。
「ドラゴンクエストⅩ」は、ユーザーがゲームサーバーにアクセスすることで、たくさんの他のプレイヤーと一緒に、ゲームの世界に参加できる、オンラインロールプレイングゲームです。
数十万人のユーザーがいて、その人数が快適にプレイするには、相応のインフラが必要です。
ドラゴンクエストⅩでは、ゲームに連動するポータルサイトやスマートフォン用のアプリケーションを提供していて、ゲーム内のメール、買い物、キャラクター管理などが可能です。
ゲーム内で写真が撮影されると、スクウェア・エニックスのサーバーに画像が送られ、サムネイル画像やコピーライト表示の追加などの加工がなされ、これをポータルサイトなどから閲覧・管理できます。
クリスマスや大晦日などのイベントの際には、この写真の処理が集中し、ポータルサイトで閲覧できるようになるまで、数時間かかることもありました。
しかし、年に数回のイベントのためだけに、そのためのインフラをオンプレミスで用意しておくのは、コスト面でも現実的ではありません。
そこでAWSを導入し、以下のようなシステムを構築しました。
AWSであれば、実質無限のITリソースを活用できますし、簡単にシステムの規模を増減できます。
さらに、一つの大きな決め手になったのは、AWSのインフラ上でコードを実行できるAWS Lambdaの存在だそうです。
AWS Lambdaを活用することで、実行の重いか像処理の仕組みを自社環境から切り離し、ユーザーが増えても実質無制限にスケール出来ます。
その結果、従来数時間かかっていた、ピーク時の画像処理からポータルサイトへの反映のプロセスが、十数秒で完了するようになりました。
コスト面でもオンプレミス環境の20分の1程度に削減することができたそうです。
また、インフラコストだけでなく、人員リソースの削減にもつながり、さまざまな面で効果を得られているそうです。
AWSクラウドの導入ステージ
AWSクラウド導入までの過程は、ユーザーによって様々ですから、一概には申し上げられませんが、AWSクラウド導入の手順の一例としては、以下のようになります。一般的にはクラウド導入までの過程は、
・プロジェクト
・基盤
・移行
・改革
の4つのフェーズが含まれます。
プロジェクトフェーズでは、クラウドを体験し、慣れることで、クラウドの利点を理解し、導入に向けてプロジェクトを実行します。
基盤フェーズでは、クラウドの導入を拡張するための基盤を構築します。
セキュリティやコンプライアンス保守の確保の他、運用モデルの作成、マルチアカウントのためのAWS環境作成などが含まれます。
移行ステージでは、業務に必要なアプリケーションなどの既存のアプリケーションやデータセンターを、AWSクラウドに移行します。
また、ITポートフォリオの成長部分について導入を拡大します。
改革フェーズでは、既にクラウド上で運用しています。
さらに業務を最適化するために、製品化までの時間を短縮したり、AWSの柔軟性や能力を活用することで、ビジネスの見直しを行います。
移行ステージはさらに、
・移行準備と事業計画
・ポートフォリオの発見と計画
・アプリケーションの設計・移行・検証
・運用
の4つのフェーズに分けられます。
「移行準備と事業計画」では、明確な目的を設定し、どのような問題に対処してどのような利益を目標とするかを検討します。
本格的な導入の前に、予備的なビジネスケースの構築をし、クラウドを体験します。
「ポートフォリオの発見と計画」では、ITポータビリティや∠アプリケーションの依存関係を再確認します。
ポートフォリオの発見によって、どのようなシステムを構築するかを考えます。
「アプリケーションの設計・移行・検証」では、個々のアプリケーションレベルの設計を考え、移行、検証します。
アプリケーションの移行が済むと「運用」フェーズに移行します。
古いシステムを落として、新しいシステムを走らせます。
最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事ではAWS移行についてまとめました。
AWS移行にはさまざまなメリットがあり、実際に導入している企業も多く、日本国内でも10万以上のユーザーがいます。
AWSに移行を決めた理由はさまざまなですが、サイジングの柔軟さや俊敏性などが、多くの企業があげる理由です。
AWS移行に際しては、Amazon.comやパートナー制度の企業に相談するとよいでしょう。
ご参考になれば幸いです。